相続問題の解決に力を入れている「宝塚花のみち法律事務所」の相続分野に特化した相談サイトです。

宝塚花のみち法律事務所
相続相談サイト

お気軽にお問い合わせください

0120-302-042

お問い合わせフォーム

[受付]平日 9:00 〜 17:00 ( 完全予約制 )
※土曜・日曜・祝日( 平日の受付時間内にご予約いただければ、休日及び夜間のご相談も可能です。)

HOME > 事務所からのお知らせ

【裁判例解説】相続欠格について

最高裁平成9年1月28日第三小法廷判決

民法891条5号は,「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し,変造し,破棄し,又は隠匿した者」を相続欠格者とする旨規定しています。この規定の適用に際しては,本号所定の行為が故意で行われることで足りるのか,それに加えて当該行為により不当な利益を得ようとする意思(いわゆる「二重の故意」)までもが必要となるのかという論点が存在しました。

本判決は,相続に関する遺言書の破棄・隠匿につき,当該行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは相続欠格者には当たらないと判示し,「二重の故意」が必要であることを明らかにしました。

この判決に従えば,自分に有利な内容を預かっている相続人が共同相続人間に紛争が生じることを避けるために遺言書を隠匿して法定相続分に応じた遺産分割を行う場合などは,相続欠格者とはならないことになります。

【コラム】持ち戻し免除の意思表示

遺産分割の分野において,「持戻し免除の意思表示」というものがあります。

まず,「持ち戻し」とは何かというと,生前贈与などの特別受益がある場合に,計算上,遺産に特別受益を加えてその合計を遺産とみなすことをいいます。

たとえば,相続人が子ども2人だとして,1人の子どもが被相続人の生前に自宅の購入資金として1000万円を贈与してもらっていた場合,被相続人の死亡時の遺産が3000万円であっても,遺産の額を3000万円+1000万円=4000万円とみなすのです。

その結果,子ども1人分の配分は4000万円÷2=2000万円となり,1000万円の贈与を受けていた子どもは1000万円しか受け取れません。

これに対して,「持戻し免除の意思表示」というのは「持ち戻しをしなくていい」という意思表示のことで,被相続人がこの意思表示をしていた場合には,持ち戻しは行われません。したがって,3000万円を遺産として2人で分けることになります(3000万円÷2=1500万円で,1人1500万円受け取れます)。

そもそも,なぜ特別受益を持ち戻すのかというと,特別受益は「遺産の前渡し」だという考え方が背景にあります。「あなたには先に遺産を渡しているのだから,私が死んだときの遺産分けは少なくていいでしょう」というのが被相続人の意思だというのです。

しかし,私は,以前からこの考え方が疑問でした。親は様々な事情を考えて,たとえば,「この子には期待しているから」とか「この子は体に障害があるから」とか,「みんなお嫁に行ったけど,この子だけ独身だから」とか,理由があって資金援助をするのです。そういう親が,「遺産を先に渡したのだから,自分が死んだときの遺産分けは少なくて良い」と考えているでしょうか。

実際,裁判で,私は,「持戻し免除の意思表示がある」と主張したことが少なからずあります。しかし,裁判所は「持戻し免除の意思表示」を認めることについて極めて消極的です。裁判官との意見交換会などでも,持戻し免除の意思表示を認定したことがあるという人に会ったことはありません。

私は裁判とは法律と証拠と常識に従って結論を出す場だと考えています。そして,実際に,世の中には「持戻し」なんか考えていない被相続人のほうが多数だと思っています。

そう思っていたところ,今回の相続法改正で,被相続人が特に何も言わない場合は「持戻し免除の意思表示があったと推定する」という規定が新設されました。私は,心の中で「よしっ!」と叫びました。私の感覚と法改正の方向性が同じだったからです。

弁護士は,立法機関ではないので,法律を作ったり改正したりすることはできません。あくまで,存在する法律を使って紛争を解決していくだけです。でも,このように,普段,疑問に思っていることが法律改正で解消したりすると,たいへんうれしい気持ちになります。

しかし,残念なことに,今回の法改正で「持戻し免除の意思表示」の推定が規定されたのは,一定の条件を満たす夫婦間の贈与のみでした。今後,この規定がさらに拡張されることを密かに期待しています。

エフエム宝塚「宝塚くらしの法律相談所」に出演しました。

6月21日,エフエム宝塚の「宝塚くらしの法律相談所」に出演しました。

 

そこでお話しした内容を以下にまとめましたので,ご興味のある方はご覧ください。

テーマは「なぜ親の面倒を看ても相続分は増えないのか」です。

 

************************************

 

相続の法律相談で多いのが,「親の面倒をずっと看てきたのに,相続分は多くならないのですか?」という質問です。

 

 

いわゆる「寄与分」の話です。

 

 

今回は,寄与分に関する,素朴で,かつ,根本的な問題を深く掘り下げてみたいと思います。

 

 

寄与分とは,簡潔に言うと,相続人が被相続人の財産の増加に貢献した場合に,多めに遺産をもらえるという制度です。

 

 

そして,「親の面倒を看ただけでは財産の増加に繋がらないので寄与分は認めらません」という話は,以前,この番組でも紹介しました。

 

 

今回は,その理由について根本的に考えてみたいと思います。

 

 

そもそも,「親の面倒を看たから遺産を多くもらえる」という期待は正当なものでしょうか?

 

 

ここに答えがあります。

 

 

今の日本で,「私は親の遺産がたくさん欲しいから,一生懸命,親の面倒を看ました!」と堂々と言う人は果たして何人いるでしょうか?

 

 

そう多くはいないのではないでしょうか。

 

 

つまり,現在の日本の文化では,「遺産を多くもらうために親の面倒を看る」という価値観は否定的なのです。

 

 

法律は社会を映す鏡です。社会問題が発生すると法律は改正されます。

 

 

たとえば,飲酒運転による事故が社会問題になったときには,飲酒運転が厳罰化されました。

また,チケットの転売が問題になったことから,最近,チケット不正転売禁止法が成立しました。

 

 

このように,社会の中で「こういうことは問題ではないか!」という声が大きくなると法律が改正されたり新しい法律が制定されたりします。

 

 

話を戻しますと,今の日本社会において,「遺産を多くもらうために親の面倒を看る」という価値観は否定的です。

 

 

ですから,法律が正面から「親の面倒を看た人はたくさん遺産がもらえます」ということを規定するわけにはいかないのです。

 

 

現時点の法律において「寄与分」が認められるためには,被相続人の財産を増加または維持したことに「特別の貢献」をした場合でなければなりません。

 

 

もっとも,これまで「寄与分」の申立は法定相続人しかできなかったのですが,近年行われた相続法改正で,法定相続人以外の人でも「特別の寄与」をした親族は寄与に応じた額の金銭の支払いを請求できることになりました。

 

 

この点は,まさに,「法定相続人しか請求できないのはおかしい!」という社会の声を受けて改正された部分です。

 

ただし,請求できる場合は,やはり,被相続人の財産の増加または維持に「特別の寄与」をした場合に限られますのでご注意ください。

 

 

ページ先頭へもどる