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エフエム宝塚「宝塚くらしの法律相談所」に出演しました。

1月25日,エフエム宝塚の「宝塚くらしの法律相談所」に出演しました。

 

そこでお話しした内容を以下にまとめましたので,ご興味のある方はご覧ください。

テーマは「相続に関連する使途不明金問題」です。

 

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今回は,遺産の争いで起こる使途不明金問題についてお話しします。

 

 

例えば,親が亡くなってその子らが遺産分割の協議をする場合,一般的には親が亡くなった時点で残っている遺産の分け方について話し合います。

 

 

しかし,そうではなく,「親の生前に親のお金を使い込んだのではないか」ということで紛争が起きることがあります。

 

 

この紛争類型で多いのは,親と同居していた子が使い込みを疑われるケースです。

 

 

親と同居している場合,親が子に通帳やキャッシュカードの管理を任せているケースが結構あります。

 

 

そして,親はたいてい年金をもらっていますから,贅沢をしなければ年金で生活費を賄えることが多いです。

なので,親の預金が大幅に減少しているような場合には,親と同居していた子が親の金を使い込んだのではないか,と疑われることになります。

 

 

最近,この類型の裁判が増えています。

どうして増えているのでしょうか。

 

 

以前の遺産分割のやり方は,親が亡くなった場合,同居していた子が「親の遺産はこれだけです」と言って,親の口座の残高証明書を見せて,例えば,「残っているのは3000万円です。これをみんなで分けましょう。」という形で話を進めていました。

 

 

この場合,他の子が,「ちょっと待って。親の預金は1億円くらいあったはずだ。」と主張しても,1億円の預金が存在したことを証明することは困難でした。

 

 

なぜかというと,以前は,相続人が単独で金融機関に対して,「親の口座の過去の取引履歴を開示してほしい。」と請求しても金融機関は,相続人全員の同意がなければ開示してくれなかったのです(東京高判平成14年12月4日)。

 

 

ですから,以前は,過去の親の口座の取引履歴を入手することが難しく,使い込みを証明することが困難でした。

 

 

ところが,この争点に関して,最高裁は,平成21年1月22日,「相続人が単独で過去の取引履歴の開示を求めることができる。」と判断しました。

 

 

過去の取引履歴が開示されると,親が生前にいくら預金を持っていたか,不自然な出金がないか,等が明らかになりますので,使い込みの証拠を入手しやすくなったのです。

 

 

しかし,この判決が出た当時は,それほど大きな話題にはなりませんでした。

その後,時間が経つにつれて徐々にこの判例が知られるようになり,親の口座の生前の取引履歴を入手するケースが増えてきました。

 

 

その結果,使途不明金があるということで,同居の子が「使い込んだのではないか」と訴えられるケースが増えているのです。

 

 

ただし,大きなお金が出金されているというだけで,直ちに「子が使い込んだ」ということにはなりません。

親自身に必要があって出金した場合もありますし,出金があっても親の意思で子どもに贈与したのであれば,「使い込み」とはいえません。

 

 

したがって,不自然に大金が出金されているという事実に加えて,親がそのようなお金を必要としていなかったことや親の意思によらずにお金が子どもの手に渡ったことなどについても証明が必要です。

 

 

【コラム】改正民法における自筆証書遺言制度の見直し

民法が改正されて,2018年30年7月13日に公布されました。新民法の施行は原則として2019年7月1日です。

 

 

相続法も大幅に改正されました。

大きな改正点の1つに自筆証書遺言制度の改正があります。

 

 

まず,現行制度では,自筆証書遺言は,文字どおり自筆(手書き)する必要があるのですが,本文だけでなく,日付も署名も財産目録も全て自筆する必要があります(民法968条1項)。

特に財産の多い方にとっては財産目録を手書きするのはかなり大変なことです。

 

 

しかし,改正後は,財産目録の部分については自筆しなくてもよくなりました。例えばパソコンなどで作成してもOKです(改正民法968条2項)。
ただし,パソコンなどで作成した財産目録には全てのページに自署と押印が必要です。

 

 

そして,基本的に改正民法の施行日は,2019年7月1日なのですが,例外的に上記自筆証書の部分の改正は,「公布日から起算して6か月を経過した日」とされていますので,既に2019年1月13日に施行されました。

 

 

ですので,これから自筆証書遺言を作成する場合は,改正民法が適用されます。

 

 

次に,自筆証書遺言についての保管制度ができました。

 

 

これまでは特に保管制度はなく,自筆証書遺言については,自宅で保管したり知人に預けたりしていました。

 

 

しかし,自宅に保管していると,親族が見つけて読んでしまったり(場合によっては,内容に不満があれば隠してしまうことも考えられます。),紛失してしまうことがあります。知人に預けていても知人が先に亡くなってしまえば,遺言書があることが相続人に分からないままになってしまいます。

 

 

また,自筆証書遺言を発見した場合,裁判所による検認手続きが必要でした。

 

 

改正法では,法務局において遺言書を保管する制度が創設されました。この部分は民法ではなく,「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(以下,「遺言書保管法」といいます。)という別の法律で定めました。

 

 

遺言書保管法によると,遺言者は,遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所の遺言書保管官に対して,遺言の保管申請を行うことができます(遺言書保管法4条3項)。

 

 

なお,遺言書の保管申請は遺言者が自ら出頭して行わなければなりません(遺言書保管法4条6項)。そして,申請された遺言書については,遺言書保管所内に原本を保管する(遺言書保管法6条)とともに,その画像情報等が磁気ディスク等に保存されます(遺言書保管法7条2項)。

 

 

また,遺言者の死亡後,相続人や受遺者等(関係相続人等)は,「遺言書情報証明書(遺言書保管ファイルに記載されている事項を証明した書面)」の交付を請求できる(遺言書保管法9条1項2項)他,遺言書原本の閲覧も請求できます(遺言書保管法9条3項)。

 

 

さらに,遺言書保管法の手続によって保管された自筆証書遺言については,検認手続をする必要がありません(遺言書保管法11条)。

 

 

この改正により,自筆証書遺言の保管場所が確保され,検認手続きも不要となりますので,今後,自筆証書遺言が利用しやすくなるのではないでしょうか。

 

 

ただし,遺言書保管法の施行日は2020年7月10日ですので,注意してください(施行前には遺言書の保管を申請できません。)。

 

【コラム】後継ぎ遺贈について

遺言で,自分が死んだらある人に遺産を相続させることと,その人が死んだ場合の次の遺産の取得者まで決められるでしょうか。

 

 

たとえば,相続人が妻と子ども3人いるとして,遺言書に「私の財産は全て妻である○○に相続させる。但し,妻が死亡した後,妻が私から相続した財産は長男の○○がすべて相続するものとする。」と書いた場合,このような遺言は有効なのでしょうか。

 

 

このような遺言は「後継ぎ遺言」と言われますが,一般的には無効と考えられています。なぜなら,遺言で財産を取得した人は,その取得した財産を自由に処分できることになるので,その方が亡くなった後のことについてまで決めることはできないからです。

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