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執務時間変更(通常営業の再開)のお知らせ

令和2年6月1日(月)より,執務時間を平日の午前9時から午後5時までとさせていただきます(従前の執務時間に戻ります。)。

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新規相談受付再開のお知らせ

今般,兵庫県における緊急事態宣言の解除を受けまして,新規法律相談の受付を再開することといたしました。

当事務所では,新型コロナウイルス感染拡大防止対策として,弁護士及び事務員のマスク着用並びにこまめな手洗い及び殺菌,テーブル・ドアノブ等のアルコール消毒,相談室に飛沫防止のためのアクリル板の導入,相談室の窓を開放してこまめな換気等を行っております。

なお,執務時間につきましては,当面の間,午前10時より午後3時までとさせていただいております。また,電話受付時間につきましても同様に,当面の間,午前10時より午後3時までとさせていただいております。 ご理解,ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

⚠新規相談休止のお知らせ(重要)

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受けて,当事務所におきましては,当分の間,新規相談の受付を休止いたします。

また,執務時間につきましては,平日午前10時から午後3時までに短縮して業務を行います。これに伴いまして,電話受付時間も同様に平日午前10時より午後3時までとさせていただきます。

ご相談者及びそのご家族並びに従業員及びそのご家族等の安全を考えた上での措置ですので,何卒ご理解,ご了承の程,よろしくお願い申し上げます。

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遺言の件でお世話になりましたが,高齢の父にも丁寧に対応して頂きました。

わかりやすくご説明頂き納得したものができたようです。

本当にお世話になりありがとうございます。

遺産分割と登記

最高裁昭和46年1月26日判決(最高裁判所民事判例集25巻1号90頁)

相続財産中の不動産につき、遺産分割により権利を取得した相続人は、登記を経ずに、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分をこえる権利の取得を対抗することができるか。

       主   文

 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人らの負担とする。

       理   由

 上告代理人鍋谷幾次の上告理由第一点について。
 所論の原判示(A)(B)各不動産についての所有権保存登記が、本件遺産分割前の共有関係の実体に合致しないため、更正されるべきものであるという点は、上告人らが原審において主張していなかつたところであるから、この点を前提にして原判決の判断の違法をいう論旨は、採用することができない。
 同第二点について。
 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼつてその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいつたん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法一七七条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である。
 論旨は、遺産分割の効力も相続放棄の効力と同様に解すべきであるという。しかし、民法九〇九条但書の規定によれば、遺産分割は第三者の権利を害することができないものとされ、その限度で分割の遡及効は制限されているのであつて、その点において、絶対的に遡及効を生ずる相続放棄とは、同一に論じえないものというべきである。遺産分割についての右規定の趣旨は、相続開始後遺産分割前に相続財産に対し第三者が利害関係を有するにいたることが少なくなく、分割により右第三者の地位を覆えすことは法律関係の安定を害するため、これを保護するよう要請されるというところにあるものと解され、他方、相続放棄については、これが相続開始後短期間にのみ可能であり、かつ、相続財産に対する処分行為があれば放棄は許されなくなるため、右のような第三者の出現を顧慮する余地は比較的乏しいものと考えられるのであつて、両者の効力に差別を設けることにも合理的理由が認められるのである。そして、さらに、遺産分割後においても、分割前の状態における共同相続の外観を信頼して、相続人の持分につき第三者が権利を取得することは、相続放棄の場合に比して、多く予想されるところであつて、このような第三者をも保護すべき要請は、分割前に利害関係を有するにいたつた第三者を保護すべき前示の要請と同様に認められるのであり、したがつて、分割後の第三者に対する関係においては、分割により新たな物権変動を生じたものと同視して、分割につき対抗要件を必要とするものと解する理由があるといわなくてはならない。
 なお、民法九〇九条但書にいう第三者は、相続開始後遺産分割前に生じた第三者を指し、遺産分割後に生じた第三者については同法一七七条が適用されるべきことは、右に説示したとおりであり、また、被上告人らが本件遺産分割の事実を知りながら本件各不動産に対する仮差押をしたものとは認められないとした原判決の事実認定は、挙示の証拠に照らして肯認することができるところであるから、論旨のうち被上告人らの悪意を主張して同法九〇九条但書の不適用をいう部分は、すでに前提において失当というべきである。
 したがつて、上告人らは遺産分割による共有持分の取得をもつて被上告人らに対抗することができないとした原審の判断は、正当であつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
    最高裁判所第三小法廷
        裁判長裁判官  下村三郎
           裁判官  田中二郎
           裁判官  松本正雄
           裁判官  飯村義美
           裁判官  関根小郷

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離婚の際依頼した弁護士さんは,こちらの言い分等をほとんど聞かず話を進めようとしたが,結局1つの質問を解決(相手側との調整など)2週間以上かかった上精査されることなく進められてしまった。

木野先生お人柄も優しくていねいに事柄を進めていただきとても感謝しております。信託人も安心して事に対処できるよう配慮して頂き今後の生活を安定して送れるように思っております。

なによりも老人が新しい人生を!と思えるアドバイスがとてもうれしかったです。

本当にありがとうございました。

改めてお礼にまいります。

遺産たる建物の相続開始後の使用関係

最高裁平成8年12月17日判決(最高裁判所民事判例集50巻10号2778頁)

遺産である建物の相続開始後の使用について被相続人と相続人との間に使用貸借契約の成立が推認される場合

       主   文

 原判決中、上告人ら敗訴の部分を破棄する。
 前項の部分につき、本件を東京高等裁判所に差し戻す。

       理   由

 上告代理人小室貴司の上告理由第一点について
 一 本件上告に係る被上告人らの請求は、上告人ら及び被上告人らは第一審判決添付物件目録記載の不動産の共有者であるが、上告人らは本件不動産の全部を占有、使用しており、このことによって被上告人らにその持分に応じた賃料相当額の損害を発生させているとして、上告人らに対し、不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として、被上告人ら各自の持分に応じた本件不動産の賃料相当額の支払を求めるものである。
 二 原審の確定した事実関係の概要は、(一) aは昭和六三年九月二四日に死亡した、(二) 被上告人bはaの遺言により一六分の二の割合による遺産の包括遺贈を受けた者であり、上告人ら及びその余の被上告人らはaの相続人である、(三) 本件不動産はaの遺産であり、一筆の土地と同土地上の一棟の建物から成る、(四) 上告人らは、aの生前から、本件不動産においてaと共にその家族として同居生活をしてきたもので、相続開始後も本件不動産の全部を占有、使用している、というのである。
 三 原審は、右事実関係の下において、自己の持分に相当する範囲を超えて本件不動産全部を占有、使用する持分権者は、これを占有、使用していない他の持分権者の損失の下に法律上の原因なく利益を得ているのであるから、格別の合意のない限り、他の持分権者に対して、共有物の賃料相当額に依拠して算出された金額について不当利得返還義務を負うと判断して、被上告人らの不当利得返還請求を認容すべきものとした。
 四 しかしながら、原審の右判断は直ちに是認することができない。その理由は、次のとおりである。
  共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右同居の相続人との間において、被相続人が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるのであって、被相続人が死亡した場合は、この時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継した他の相続人等が貸主となり、右同居の相続人を借主とする右建物の使用貸借契約関係が存続することになるものというべきである。けだし、建物が右同居の相続人の居住の場であり、同人の居住が被相続人の許諾に基づくものであったことからすると、遺産分割までは同居の相続人に建物全部の使用権原を与えて相続開始前と同一の態様における無償による使用を認めることが、被相続人及び同居の相続人の通常の意思に合致するといえるからである。
  本件についてこれを見るのに、上告人らは、aの相続人であり、本件不動産においてaの家族として同人と同居生活をしてきたというのであるから、特段の事情のない限り、aと上告人らの間には本件建物について右の趣旨の使用貸借契約が成立していたものと推認するのが相当であり、上告人らの本件建物の占有、使用が右使用貸借契約に基づくものであるならば、これにより上告人らが得る利益に法律上の原因がないということはできないから、被上告人らの不当利得返還請求は理由がないものというべきである。そうすると、これらの点について審理を尽くさず、上告人らに直ちに不当利得が成立するとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決中上告人ら敗訴部分は破棄を免れない。そして、右部分については、使用貸借契約の成否等について更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻すこととする。
  よって、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官  千種秀夫
            裁判官  園部逸夫
            裁判官  可部恒雄
            裁判官  大野正男
            裁判官  尾崎行信

遺産分割後の負担不履行を理由とする解除

最高裁平成元年2月9日判決(最高裁判所民事判例集43巻2号1頁)

遺産分割協議と民法五四一条による解除の可否

       主   文

 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人らの負担とする。

       理   由

 上告代理人吉村洋、同今中利昭、同村林隆一、同松本司、同千田適、同釜田佳孝、同浦田和栄、同谷口達吉の上告理由について
 共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しないときであっても、他の相続人は民法五四一条によって右遺産分割協議を解除することができないと解するのが相当である。けだし、遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し、その後は右協議において右債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、しかも、このように解さなければ民法九〇九条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ、法的安定性が著しく害されることになるからである。以上と同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 佐藤哲郎 裁判官 角田禮次郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 四ツ谷巖 裁判官 大堀誠一)

 上告代理人吉村洋、同今中利昭、同村林隆一、同松本司、同千田適、同釜田佳孝、同浦田和栄、同谷口遠吉の上告理由
 原判決には、民法五四一条、九〇九条の解釈適用を誤った違法がある。
 一 原判決は、共同相続人の一人が遺産分割協議において負担させられた債務を履行しなかったときでも、他の相続人は遺産分割協議を民法五四一条により解除できないとする。
  1 その理由の第一として原判決は、「これを許すとすれば、民法九〇九条本文により遡及効のある分割について再分割がくり返され、法的安定性が著しく損なわれる虞れがあるから、長期間不確定な状態におかれることとなる。」と説く。
 しかし、遺産分割に遡及効があると何故その法的安定性が重視されることになるのか明らかでない。
  2 まず、解除を認めるとして第三者との関係で法的安定性が害されるか検討すると、たとえ解除を認め遡及的に遺産分割協議が遡及的に無効になったとしても、解除前の第三者は民法五四五条一項但書により、また解除後の第三者の場合でも動産については即時取得(民法一九二条)の規定等によって不動産についても登記を備えるかぎり一七七条により保護される余地がある(最判昭和三五年一一月二九日民集一四巻一三号二八六九頁等)のであるから、いずれも法的安定性を害するとはいえない。
  3 次に共同相続人間での解除の可否について検討するにたしかに分割協議に解除を認め、その失効と再分割協議を認めることは、実際上複雑になることは否めない。
 しかし、そのことのみを理由として、分割協議につき一切の債務不履行による解除を否定することは、明文の規定でもないかぎりできないはずである。
 民法九〇九条は、遺産分割に強度の法的安定性を要求し、分割協議の解除を一切否定している趣旨とは解せないのである。
  4 他方、原判決は、分割協議に参加した相続人に錯誤詐欺の場合に無効、取消の問題が生ずることを認める。
 とすれば、遺産分割の法的安定性といっても絶対のものではないということであろう。
 では右の場合には何故分割協議の法的安定性を害してよいのか、解除については何故右同様のことが認められないのか全く説明されていない。
 たしかに錯誤、詐欺の場合は、共同相続人間に分割協議時、自由な意思決定が欠如しているのに対し、解除においては、この欠如がないといえる。
 しかし、分割協議において、共同相続人の一人が負担した債務を履行しなかったという背信行為のある場合でも、常に法的安定性の要請を重視して分割協議の解除を一切否定すると解するのは妥当とはいえない。
 そもそも法律がある法律行為を無効、取消、あるいは解除しうるものとするのは、既に生じた効果を否定して以前の状態に復することに、国が協力することが、法秩序の趣旨から望ましい場合である。そして、そのような場合とは結局一方が何等かの不当な損失を蒙り、相手方が不当な利得を得た場合である。
 とすれば、遺産分割の解除の余地を認め、その可否の検討においても、解除の法的安定性の要請の他、遺産分割内容(一方が他の相続人に比し、どの程度多く遺産を相続することにしたか。)一人の相続人が他の相続人に如何なる内容の債務を負担したか。(解除以外の方法で、その履行が確保できるか否か。これは後にまた述べる。)負担した債務の不履行背信性の程度その時期等の諸事情を考慮して解除の可否を決すべきである。
 また、原判決は解除が認められるとすると分割協議が長期間不安定状態となると説くが、この点も解除の時期を諸般の事情を考慮し、信義則で制限すればよいのであるから、解除自体を一切否定する理由とはならない。
  5 また、理論的に考えてみても民法九〇九条本文は、遺産分割に遡及効を認め、各相続人は他の相続人を経由して権利の移転を受ける(移転的効力)のではなく、被相続人から、相続開始時に遡って、分割協議で認められた権利を直接に承継する旨規定する。
 この規定のみからすれば、なるほど一般に当事者間の合意を前提とする解除は遺産分割になじまないともいえる。
 しかし、権利の承継が理論的には被相続人から直接承継するとしても、その過程においては共同相続人の分割協議が介在し合意の要素が多分に含まれるのである。
 また、共同相続人のうち一人に全ての相続財産を相続させるという法定相続分と異なる分割協議は、実際上贈与とも評されるものである。
 民法も以上の遺産分割の実質を考慮し、移転的構成を前提とした規定(九〇九条但書、九一一条)を設けているのである。
 したがって、遺産分割に解除はなじまないとは必ずしもいえない。
 二1 原判決は第二の理由として、「遺産分割の協議の際に、分割の方法として共同相続人の一人又は数人が、他の共同相続人に対し債務を負担させ、その代りその相続人の相続分を多くするのは、分割を容易にするためにとられる便宜的方法であって、その債務自体が遺産に属しないのであるから、遺産分割そのものは協議の成立とともに終了し、その後は負担させられた債務者と債権者間の債権債務関係の問題として考えるべきものである。」と説く。
 この趣旨は、結局遺産分産の解除をせずとも、債務を負担した共同相続人に対し、他の相続人がその債務の強制履行を求めれば、それで、十分保護されるということであろう。
 しかし、これは本件のような場合には全く理由とはならない。
 確かに、他の相続人に対し負担した債務の内容によっては、右の理が妥当する余地はあろう。
 たとえば、現物分割にかえて一部の相続人が他の相続人のために持分放棄をするかわりに、金銭支払いの債務を負担したような場合である。
 しかし、本件の場合のように、
   (一) 被上告人は、上告人一郎、同太郎と兄弟として仲よく交際すること
   (二) 被上告人は長男として実母ユキ子と同居すること
   (三) 被上告人は実母ユキ子を扶養し、同女にふさわしい老後を送ることができるように最善の努力をするものとし、妻とともにユキ子の日々の食事はもとよりその他の身の廻りの世話をその満足をうるような方法で行なうこと
   (四) 被上告人は先祖の祭祀(浄土真宗、稲荷神社)を承継し、各祭事を誠実に実行すること
 以上のような内容の債務を負担した場合は、前記理由は全く妥当しない。
 この種の債務にあっては、強制履行は適さないし、また不可能でもあるからである。
 そうだとすると、本件のように右債務の履行のない場合には他の相続人保護のため、何らかの形で遺産分割の効力を覆しうる方法が考えられなければならないはずである。
  2 本件類似の債務を負担した債務者が、その債務を履行しない場合、次の各判例は財産を先渡しした債権者に、返還請求することを認めているのである。
   (一) 大判大正六年二月二八日民録二三輯二九二頁
 最判昭和二九年九月四日民集一八巻七号一三九四頁
 「結納は、婚姻の成立を確証し、あわせて婚姻が成立した場合に当事者ないし、当事者両家間の情誼を厚くする目的で授受される一種の贈与」であり、「婚姻不成立の場合は「当然その効力を失う。」として返還請求を認める。
 この場合、結納という贈与に付加した債務は将来婚姻をなすという、本件類似の強制履行に適さないものである。
   (二) 東京高判決昭和五二年七月一三日(判例時報八六九号五三頁)老年者が老後の物心両面の面倒をみてもらい、かつ家産や祭祀を継がせるため重要な財産の贈与した場合、右判例は右贈与を右債務の負担贈与と構成し、受贈者の義務違反を理由に贈与の解除を認めている。
  3 よって、本件の場合も同様に遺産の返還請求の前提として遺産分割の解除を認めてしかるべきである。
 義務違反の場合、遺産分割が当然失効するとするよりは、解除の意思表示を必要とする点明確であり、且つ、解除とすることで多数人の関与に対処する五四四条の適用が可能となるからである。
  4 もっとも民法五四一条解除の制度は、等価交換関係にある当事者間の法律関係を規律する取引法の分野に妥当するもので、遺産分割には妥当しないとする反論があるかもしれない。
 なるほど民法五四一条は本来取引法上の制度ではあろう。しかしながらその基本理念は、当事者の一方に義務違反がある場合、既に契約によって作出された権利関係を維持することが他方当事者との関係で平等を欠くと評価されうる場合、当該他方当事者にその権利関係を覆しうる手段を与えることである。
 だとすれば本件の場合に解除権が否定されるいわれはなく、前掲の二判例も同様の考えに立つものといえよう。
 三 以上、まとめると共同相続人の一人が他の共同相続人に対し、特定の行為をする債務を履行しないとしても他の相続人はその強制履行もなしえず、解除もできないとする解釈は、民法の相続人平等の趣旨に反するものといわざるを得ない。
 原判決の強調する分割協議の法的安定性といっても、第三者の関係においては、それを害する虞れもなく、また共同相続人間においても絶対の要請ではなく、一方の共同相続人平等の要請との調和を図りながら解釈されなければならないものである。
 すなわち「法的安定性」といっても結局は全法秩序の中での判断の一規準にすぎない。抽象的に法的安定性のみ金科玉条のごとく振りまわし、その結果原判決も認定するように「被控訴人(被上告人)が前記自由意思に基づき合意された控訴人(上告人)ら主張の四条件を履行する限り本件の如き訴えの提起に至らなかったこと」(原判決理由第一、二、1)が明らかな状況にあって「被控訴人(被上告人)が(訴外亡乙井)ユキ子と同居する以上、同人を扶養する義務あること及び先祖の祭祀を行なうべきものであることは、被控訴人(被上告人)の認めるところであり、兄弟仲よくすべきことも当然のことである」(原判決理由第一、二、2)のに、被控訴人(被上告人)が右訴外亡ユキ子に対し「食事の打ち切り、病気〈糖尿病〉治療に必要とする健康保険の打切り、椅子をもって顔面を殴打し傷害を負わせ」る等の「人倫に悖る非行」(原判決理由第一、二、4)を行なうなど、「控訴人(上告人)ら主張の四条件を履行しなかったこと」(原判決理由第一、二、2)を結局は放置するような法解釈を展開する原判決は、法の名の下に法秩序を破壊し、規範意識を歪めるものに他ならない。正に本末を誤まるものである。
 相続はすぐれて身分的、換言すれば非取引法的制度である。だからこそ遺産の分割は単純に法定相続分で行なうのではなく、「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態、及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と定められた(民法第九〇六条)のである。
 分割に当り、相続人が自己に帰属すべき法定相続分の全部あるいは大部分をある特定の他の相続人に帰属させるにつき条件を付した場合、当該条件が身分的なものであるほど、当該相続人にとっては必須の条件である場合が多い。本件はまさにこのようなケースである。にもかかわらず原判決は、これをどちらかといえば取引法的な概念である法的安定性のみで律しようとした点に根本的な誤りがあるのである。
 よって、遺産分割においても本件のような場合には、民法五四一条の適用を認めるべきであり、原判決にはこの点で法律解釈に誤りがあり、破棄されるべきものと思料する。

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1.ご依頼いただいた事件の結果について

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6.ご意見・ご感想等がございましたら、ぜひお聞かせください。

その節は大変世話になりました。

大きな問題なくスムーズに解決できましたのも木野先生のおかげです。ありがとうございました。

あの時は、何もわからず不安でいっぱいでしたが、一つ一つ丁寧にご説明いただき、わかりやすくホッとしたことを思い出します。

やはり、相談に来られる方々は何かしら不安や心配事が多いと思いますが、木野先生の表情や話され方、又話をじっくり聞いてくださる姿勢はとても安心できると感じました。これからも変わらず長く続けてください!!

遺産分割協議と詐害行為取消権

最高裁平成11年6月11日判決(最高裁判所民事判例集53巻5号898頁

共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となる。

       主   文

 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人らの負担とする。

       理   由

 上告代理人松田義之の上告理由について
 一 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
 1 亡Bは、第一審判決別紙物件目録二記載の借地権を有する土地上に同一記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有し、右建物において妻であるCらと居住していた。
 2 Bは、昭和五四年二月二四日に死亡し、その相続人は、C並びに子である上告人A及び同Dの三名である。上告人Aは昭和五二年に、同Dは同五七年に、それぞれ婚姻し、その後、他所で居住するようになったが、Cは、本件建物に居住している。
 3 被上告人は、平成五年一〇月二九日、E及びFを連帯債務者として、同人らに対して三〇〇万円を貸し渡し、Cは、同日、被上告人に対し、右金銭消費貸借契約に係るEらの債務を連帯保証する旨を約した。
 4 本件建物の所有名義人は亡Bのままであったところ、Eらの被上告人に対する右債務に基づく支払が遅滞し、その期限の利益が失われたことから、被上告人は、平成七年一〇月一一日、Cに対し、右連帯保証債務の履行及び本件建物についての相続を原因とする所有権移転登記手続をするよう求めた。
 5 C及び上告人らは、平成八年一月五日ころ、本件建物について、Cはその持分を取得しないものとし、上告人らが持分二分の一ずつの割合で所有権を取得する旨の遺産分割協議を成立させ(以下「本件遺産分割協議」という。)、同日、その旨の所有権移転登記を経由した。
 6 Cは、被上告人の従業員に対し、右連帯保証債務を分割して長期間にわたって履行する旨を述べていたにもかかわらず、平成八年三月二一日、自己破産の申立てをした。
 二 【要旨】共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。けだし、遺産分割協議は、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について、その全部又は一部を、各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移行させることによって、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるということができるからである。そうすると、前記の事実関係の下で、被上告人は本件遺産分割協議を詐害行為として取り消すことができるとした原審の判断は、正当として是認することができる。記録によって認められる本件訴訟の経緯に照らすと、原審が所論の措置を採らなかったことに違法はない。所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。
論旨は採用することができない。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 福田 博 裁判官 河合伸一 裁判官 北川弘治 裁判官 亀山継夫)

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